技術屋の心眼
E.S.ファーガソン著 藤原良樹+砂田久吉 訳
平凡社 1995
工学の観点から設計のあり方を考えさせられる一冊です。
平易な記述で、一気に読むことができます。
しかしながら、その中身は技術の本質を問うもので、
エンジニアのみならずデザイナーも必読の書だと思います。
さまざまなアイデアが実現されていく発明・発見のプロセス。
計算尺や図式解法を用いる体感に伴う解析手法の紹介。
事故の事例から、なぜ前例から学べなかったのかという解説。
数多くの事例に基づいて、
数学的モデルを用いるときの注意と判断力の重要性が繰り返し示されています。
30年近く前に出版された本で、
訳者のあとがきには兵庫県南部沖地震について触れられています。
この本でなされている技術の本質についての指摘される重要性は、
何年経っても未だ変わらず、誰しものが向き合うべきものです。
エンジニアは本文中では技術者と記述されているのですが、
タイトルは技術屋となっていて、このタイトルの付け方が何とも粋だと思います。