語りえぬものを語る
野矢茂樹 講談社学術文庫 2020年
この本の特徴は、雑誌『本』に連載された各回の文章に、
註として、解説が加えられていることです。
『21 何が語られたことを真にするのか』という章の
『科学と技術』では、
『知識を活用する場面に目を向けるならば、
そこでは非言語体験ー語られないものーこそが、
決定的に重要な役割を担っているのである。』
と物事の本質を短い文章でまとめられている。P.368
『26 科学は世界を語り尽くせない』の最終章では、
決定論や因果律について、明瞭に語られている。
『語りえぬものを語る』というタイトルが相応しい、
知的好奇心が大いに高められる一冊です。