「しくみをみよう」構造目線

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超々高層建築物の基礎 & 巨大防潮堤

2021日本建築学会大会
大会のプログラムは日本建築学会のWEBサイトで確認できます。
また資料のpdfはオンラインで購入することができます。

http://taikai.aij.or.jp/2021/

2日目は、午前、午後、2つのパネルディスカッションを聴講しました。

構造部門(基礎構造)パネルディスカッション
超々高層建築物の 基礎構造設計に向けて現状の課題と将来展望

海洋建築部門研究協議会
巨大津波から10防潮堤とまちづくり

午前、午後を通じて個人的に抱いた想いは、
巨大な構造物をつくることへの懐疑心です。

午前中の冒頭の和田章(東京工業大学名誉教授)先生の実直な話は印象的でした。

岩盤上にない地盤の良くない日本で超高層の建築物を建てることに対して、
研究対象としてが学問することにとっては良いが、そもそも建てるべきであろうか?
というニュアンスの疑問を投げかけられていました。

ラッシュアワー時の人混みのスライドを示されて、
これ以上、人口密度を上げるべきなのかという疑問も提示されていました。

このディスカッションで紹介されていた超高層建築物が、
100年後、どのように活用されているのか、
その先、解体時期を迎えたときに、どういう対応が図られるのか?
イメージし難いことなのだと再認識しました。

午後の津波に関する話では、
この10年間に築かれた防潮堤の数多くのスライドが印象的でした。

完成した防潮堤と住民が高台移転したために防潮堤近くには広い空き地があるという場所が、
随所にあるとのことです。
時間に限りのある中で、とにかく防潮堤をつくるとした結果が示されていました。

どういう町にするかという視点を持つことがもっと必要であったようです。

この先、間違いなく東南海地震が発生するので、それを想定して何を考えなければならないかという
提言や議論もなされていました。

午前、午後の聴講を通して、

巨大な構造物であればあるほど、それを建造するにあたっては、
長い時間軸に対するイメージを明確に持たなければならない。

という想いを強く抱きました。

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