参考図書
建築と利他 堀部安嗣 中島岳志 ミシマ出版 2025年
建築家と哲学者の対談が編集されています。
「パッシブデザイン」のパッシブが「あるものを活かす」であるとの捉え方は、
まさしく「うけとめていく」という行為そのものが説明されているように思えます。
「対人」よりも「対自然」を重視すべきで、職人は市場原理で仕事をしていないという話は、
ラトゥールの『虚構の「近代」』に書かれている「モノの民主主義」の考え方そのものに思えます。
コントロールしようとしないこと、スペースや余白が重要なことなど、
さまざまな示唆に富む事例に触れられています。
アーキテクチャー(architecture)の日本語訳は「何とか道」ではないかという
堀部氏の考え方には感心させられました。
これまで、自分自身が曖昧に感じていたことの中心を射られてしまった感覚です。
「〜道」についての道の捉え方として、
これからの道というよりこれまでの道こそがarchitectureだという内容の文章が書かれています。
これぞまさしく「うけとめていく」デザインそのものだといえます。