9月7日㊋ 13:30~17:00
2021日本建築学会大会 1日目の午後です。
大会のプログラムは日本建築学会のWEBサイトで確認できます。
また資料のpdfはオンラインで購入することができます。
途中まで聴講しました。
Bruneauのレジリエンス・トライアングルの考え方を元にして、
レジリエンスに着目した事例が紹介されていました。
構造性能の低下量を想定して被災を小さくすることを目指すだけでなく。
補修計画と補修期間、補修後の性能のバラツキなども考慮する方法が示されていました。
復旧曲線の形で考えることにより、目標性能に対する判断材料が増えることになります。
朝川剛 先生(東京電機大学)は、次のように用語を整理されていました。
冗長性 リダンダンシー redundancy 超えた先 奈落の底にならない
頑強性 ロバスト性 robustness 余裕を持たせる 鈍さ
レジリエンス 災害後の復旧を時間とともに評価する
損傷した後の復旧する際に、設計図、構造計算書、構造解析モデルの保管が重要であるとのこと。
まったくその通りであると思います。
被災した建物の調査・補修とレジリエンスについて
伊藤拓海 先生(東京理科大学)は鉄骨ラーメンの復旧、復興について話されていました。
接合部の復旧の際に、強くなりすぎる場合があり、治したつもりが全体として弱くなる場合がある
という話が印象に残りました。
中村尚弘 先生(広島大学)は、
地盤-基礎-建物連成系のレジリエンスというタイトルで杭基礎の考え方を話されていました。
兵庫県南部地震では、上部構造と基礎構造のどちらか損傷してどちらか健全だったらしく、
東北地震では、上部被害が小でも杭(コンクリート杭)が損傷していた例があったとの話が印象に残りました。
その場合、掘ってみないと分からないために把握が困難で復旧に時間がかかるとのことでした。
また、1度目の地震で杭が損傷した場合に、2度目の地震の影響をどう評価するかという問題は、
なかなか扱いづらいようです。
2019年度基礎構造指針改定により2次設計実施が基本指針として示され、
建物の重要度を考慮した性能グレードを考える点において、
建物価値をどう考えるかということが重要であると触れられていました。
設計時点で、復旧のレベルをどう考えておけば良いのか?
簡単には解けない問題であると知ることができました。