「しくみをみよう」構造目線

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【終末のデザイン】エンドロールのあるなし

イロモノ

映画の最後にエンドロールが流れる

モノクロ

関係者の名前が連なる

イロモノ

どれだけ多くの人が関わったんだということが分かる

モノクロ

関わった人たちも自分の名前がそこにあるって思える

イロモノ

建物を建てるときにも多くの人が関わっている

モノクロ

多くの人が関わっているのに、建物のエンドロールはない

イロモノ

有名な建築家が設計するとその建築家の名前が表に出る

モノクロ

でも設計に関わった事務所の所員の名前は出てこない

イロモノ

それどころか実際に作ることに関わった施工者の名前は誰にも分からない

モノクロ

伝統的な建築物だと小屋裏(天井の上の見えない部分)に棟札(むなふだ)というものがある

イロモノ

棟札?

モノクロ

そこに建てるときに関わった主だった人の名前が記されていたりする

イロモノ

建物でも映画のエンドロールのようなものがあってもいいのに

モノクロ

どれだけの人が関わったかという記録になるし、関わった人の誇りにもなる

イロモノ

でも、どういう形にするのか? 石碑のような形で残すのか?

モノクロ

どう残すのかということもあるけど 問題はそこじゃない気がする

イロモノ

残し方の問題じゃない?

モノクロ

そう そもそもエンド、終末はどこかという話

イロモノ

映画は ほぼ最後にエンドロールが流れる

モノクロ

では 建物の最後はどこ? いつ?

イロモノ

完成したときを竣工と呼んでいる

モノクロ

竣工後、建物は使い続けられ、残り続ける

イロモノ

竣工時が終わりではないということか

モノクロ

伝統的な建築物では修理した記録も棟札で分かることがある

イロモノ

修理され、使い続けられている間、その建物がなくなるまで物語は続いていく

モノクロ

そう だから竣工時が終末じゃない

イロモノ

連なる名前が増えていくような形式のエンドロールになる

モノクロ

墓碑銘のようなものに名前が足されていくことがある

イロモノ

そうか 関わった人すべての名前が足されていくような碑があってもいいかもしれないね

モノクロ

建物があり続けることは、その建物を作り続けているということ

イロモノ

竣工した時点で完成するものじゃないのか

モノクロ

そういう意味では 建物は壊されるまでの間、ずっと未完なのかも

イロモノ

建物が壊されてなくなると何もない土地だけが残る

モノクロ

その土地にそこにこういう建物があって、それに関わったすべての人の名が刻まれた墓碑銘が残る

イロモノ

もしあり得るとすれば、それが建物にとっての映画のエンドロールのようなものかもしれない

モノクロ

そう考えると映画の完成もいつなんだろうと思えてくる

イロモノ

上映後という考え方もあり得る?

モノクロ

映画を見終わった観客がどう感じたかというところまでを上映時間だとすると

イロモノ

映画のエンドロールの最後の最後には、その映画を観た人の名前が記述されるものなのかもしれない

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