「うけとめていく」デザインのための構造目線
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『ゆたかさをどう測るか ウェルビーイングの経済学』

ゆたかさをどう測るか ウェルビーイングの経済学
山田鋭夫 著
ちくま新書1842

社会のあり方の本質を考えるために大いに参考となる一冊です。
ウェルビーイングをキーワードにして、
ゆたかな生き方が実現できる社会のあり方について示してくれています。
宇沢弘文 氏の『社会的共通資本』の考え方にも触れられています。

この本では、社会的連帯経済(social and solidarity economy)、
互酬(reciprocity)が重要なキーワードとして示されています。

能力形成とともに、紐帯(ちゅうたい)形成が重要であることも述べられています。
本文中には、能力に「もちあじ」、紐帯に「つながり」というルビが振られている箇所もあり、
なるほどそういうことかと納得させられます。

根本的に重要なことがらは、
すでに見ようと思えば十分に見えている状況だということが分かります。
ただし、それをどう具現化していくのかということについては、
単純明快に割り切った答えを出すことはできなさそうです。

何をデザインするのか?
その対象は、おそらく人の生き方なんだろうと感じさせられました。

富裕層というような単語が報道などで用いられていることに、
かねてより気持ちが悪いと感じていましたが、
その気持ち悪さの正体を確認させてもらえました。

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