山は店主の匠と同じ専門学校の卒業生で2年先輩になる。
初来店から1ヶ月ほどして、神とともに再び訪れた。
神は山と専門学校の同期で、都内で工務店を経営している。
3人とも、学校で大工技術を学び、建築の勉強をしていたが、
卒業後すでに30年ほどが経っている。
日頃の仕事以外の時間の使い方に話は及んだ。
ところで二人の趣味って何なの?
前から好きではあったけど、最近は車いじりですね。
そういや、学生の時も車を結構改造して遊んでたよね。
最近、またその趣味が復活して、車いじりを始めたんですよ。
車をいじることって、
仕事と精神的につながる部分があるが気がしますよ。
エンジンとかもバラして元に戻すところから始めて、
なんとも対処に困って後悔することもあるんだけど、
いざ仕事で大変なことに直面しても、
とりあえずやってみようっていう
チャレンジする気持ちになることにつながる気がしますよ。
やっかいな問題に対して、考え悩んで工夫すること自体が、
趣味なんだか仕事なんだか良くわからない感じですね。
私はあるきっかけで全然違う世界の面白さを知って、
数年前から、お香の配合を楽しんでるよ。
匂いをコントロールして日々の生活の楽しみを増やしてる感じだね。
それも仕事につながってたりしますか?
行きつけのアロマオイルの店もできて、
そこに足を運んでいるといろいろな知識が身についてくるでしょ。
そうすると、お客さんと話をしたときに、
部屋の香りの演出の話にまで及んだりするんだよね。
竣工した家の御施主さんに、
アロマオイルのグッズをプレゼントすることもあるよ。
確かに、お客さんの生活そのものを提案することも大事ですよね。
壁に飾る絵とか、玄関に花を飾るかどうかとか、
それによって、壁の仕上げなんかもそうだけど、
照明の加減とかも変わってくるからねえ。
そうだよねえ。
どの先生が言ってたか忘れたけど、学生の時からでも、
とにかく展覧会に行けって薦められたのを思い出したよ。
御施主さんと向き合うためには、
いいものをたくさん見て、
場合によっては、そこで見たような美術品を飾るかどうかなんてやりとりが
できるようになっておけって教わった気がするよ。
私もその話、聞いたことがある気がします。
家づくりそのものだけじゃなくて、
生活そのものについて、お客さんと話ができるネタを持っているかどうかって
大事だよね。
そうそう。
なので、歳をとったからこそ分かるようになったことも多いので、
そういう経験値みたいなものも大事だね。
あと犬を飼うなんていうのも
飼ってないと分からないことも多かったりするでしょ。
数年前から、おっきい犬を飼ってるんですよね。
朝は4時半に起きて1時間ぐらい犬の散歩してますよ。
で、その散歩の時に 仕事の段取りを考えたりしています。
なんだかんだ言って全部仕事につながってるねえ。
日曜の休みなんかに、
ドライブ行った先で家族と過ごしていても、
そんな息抜きの合間に、ふと仕事のアイデア浮かぶこともあるよ。
土曜の夜、ケヤキの一枚板のカウンター越しの対話はまだまだ続く。