趣味と仕事の境界線はないのかも【山と神③】

あれやこれやと

山は店主の匠と同じ専門学校の卒業生で2年先輩になる。
初来店から1ヶ月ほどして、神とともに再び訪れた。
神は山と専門学校の同期で、都内で工務店を経営している。
3人とも、学校で大工技術を学び、建築の勉強をしていたが、
卒業後すでに30年ほどが経っている。

日頃の仕事以外の時間の使い方に話は及んだ。

客:山
客:山

ところで二人の趣味って何なの?

店主:匠
店主:匠

前から好きではあったけど、最近は車いじりですね。

客:山
客:山

そういや、学生の時も車を結構改造して遊んでたよね。

店主:匠
店主:匠

最近、またその趣味が復活して、車いじりを始めたんですよ。

車をいじることって、
仕事と精神的につながる部分があるが気がしますよ。

エンジンとかもバラして元に戻すところから始めて、
なんとも対処に困って後悔することもあるんだけど、
いざ仕事で大変なことに直面しても、

とりあえずやってみようっていう
チャレンジする気持ちになることにつながる気がしますよ。

やっかいな問題に対して、考え悩んで工夫すること自体が、
趣味なんだか仕事なんだか良くわからない感じですね。

客B:石
客B:神

私はあるきっかけで全然違う世界の面白さを知って、
数年前から、お香の配合を楽しんでるよ。
匂いをコントロールして日々の生活の楽しみを増やしてる感じだね。

店主:匠
店主:匠

それも仕事につながってたりしますか?

客:山
客B:神

行きつけのアロマオイルの店もできて、

そこに足を運んでいるといろいろな知識が身についてくるでしょ。
そうすると、お客さんと話をしたときに、
部屋の香りの演出の話にまで及んだりするんだよね。

竣工した家の御施主さんに、
アロマオイルのグッズをプレゼントすることもあるよ。

店主:匠
店主:匠

確かに、お客さんの生活そのものを提案することも大事ですよね。

客B:石
客B:神

壁に飾る絵とか、玄関に花を飾るかどうかとか、
それによって、壁の仕上げなんかもそうだけど、
照明の加減とかも変わってくるからねえ。

客:山
客:山

そうだよねえ。

どの先生が言ってたか忘れたけど、学生の時からでも、

とにかく展覧会に行けって薦められたのを思い出したよ。
御施主さんと向き合うためには、
いいものをたくさん見て、
場合によっては、そこで見たような美術品を飾るかどうかなんてやりとりが

できるようになっておけって教わった気がするよ。

店主:匠
店主:匠

私もその話、聞いたことがある気がします。

客B:石
客B:神

家づくりそのものだけじゃなくて、
生活そのものについて、お客さんと話ができるネタを持っているかどうかって

大事だよね。

客:山
客:山

そうそう。
なので、歳をとったからこそ分かるようになったことも多いので、
そういう経験値みたいなものも大事だね。
あと犬を飼うなんていうのも
飼ってないと分からないことも多かったりするでしょ。

店主:匠
店主:匠

数年前から、おっきい犬を飼ってるんですよね。
朝は4時半に起きて1時間ぐらい犬の散歩してますよ。

で、その散歩の時に 仕事の段取りを考えたりしています。

客B:石
客B:神

なんだかんだ言って全部仕事につながってるねえ。

客:山
客:山

日曜の休みなんかに、
ドライブ行った先で家族と過ごしていても、
そんな息抜きの合間に、ふと仕事のアイデア浮かぶこともあるよ。

土曜の夜、ケヤキの一枚板のカウンター越しの対話はまだまだ続く。

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