山は匠と同じ専門学校の卒業生で2年先輩になる。
山はリフォーム業を営み続けている。

店主:匠
山さんは、リフォームの仕事の契約につなげるまで、
お客さんとはどういうやりとりするんですか?

客:山
図面を描く前に、まずはコンセプトを形にしておくことが重要だと思うよ。
最初にコンセプトを考えて、なんとなくだけどポエムみたいなものを伝えることにしてるよ。

店主:匠
ポエムですかあ?

客:山
まずはお客さんの想いを言葉にして、共有することが大事だね。
文字や写真なんかも使って、そう想ってくれているあなたに頼みたいと感じてもらえるようにしているよ。

店主:匠
住宅メーカーもまずはイメージを伝えて営業しているって感じしますよねえ。

客:山
大手住宅メーカーの資料をたまたま見せてもらったんだけど、
分厚い資料で、その内容も良くできてるんだよね。
単なるイメージだけじゃなくて、技術的な資料も載っている。
真っ向勝負だと、そういったイメージには勝てない気がするので、
とにかく大手がやれないことをやるっていう意識を持つ続けているよ。

店主:匠
家を建てることと、車を購入することを同じように考えている人はメーカーに頼むのが無難かもしれないけど、家は違うって思いますよねえ。

客:山
そうなんだよね。作りながら考えていくっていう要素が結構ある。

店主:匠
自動車を乗り続けるよりもはるかに永い年月住み続けていくことになるだろうし、その都度手入れしていくとかも含めて、家は買うものって感じじゃないですよねえ。

客:山
そう、お客さんとともに家に関わっていくって感じだねえ。

店主:匠
そうかあ、そのストーリーの元になるものがポエムってことですかねえ?

客:山
しっかり作る技術は大事だけど、お客さんにとっては、どんな生活ができるようにかということが最大の関心事だからねえ。
土曜の夜、ケヤキの一枚板のカウンター越しの対話はまだまだ続く。