石は匠と専門学校の同期生である。
関西のかなり人口の少ない地方都市で工務店を経営している。
一人で経営している匠とは異なり、石が経営している工務店は人数規模、売り上げも大きい。
そう近くはないものの、開店して以来、石はたびたび訪れている。

客:石
お久しぶり

店主:匠
おっ、久しぶりじゃん?今日はどうした?

客:石
ちょっと東京に行く用事があったんで、その帰りだよ。

店主:匠
相変わらず急ぎしそうだねえ

客:石
いやほんま、大変。
この間なんか、忙しすぎてしばらく留守してたら会社の社長の席なくなってたわ。

店主:匠
ちょっと気になってたんだけど、石の会社では、住宅設備のメーカーさんとの付き合いってどうしてる?

客:石
前から取引している地元にショールームのある会社とそのままお付き合いしてるよ。

店主:匠
メーカーによって対応がだいぶ違うでしょ?

客:石
インターネットでいろんな情報が見られるようになってきたから、ショールームもなくなる傾向だしね。

店主:匠
それでも取引先は変えない?

客:石
やっぱり、その地域で店を構えている良さってあるんだよね。
住宅に取り付けるものって、画像で見ただけではわからんことが多いしね。

店主:匠
じゃあ、引き続き、そのメーカーと取引していくって感じなんだ。

客:石
地域に根付いてくれているってこと自体が大事やと思うよ。
土曜の夜、ケヤキの一枚板のカウンター越しの対話はまだまだ続く。