ある映画の終わり間際のあるシーンの演出について その映画の監督になぜそうしたのか聞いたことがある
それはどんなシーン
ある登場人物が砂浜の向こうの方にいたかと思うと突然画面から消えるシーン
それはSFか何か
そういうタイプの映画ではなくて その人物の命が尽きたということを象徴的に表したシーンに思えた
その演出について監督に直接尋ねたということか
そう
で その答えは
教えてくれなかった
答えたくなかったのか
いや そもそも答えようのない質問だった気がする
そのシーンをどうするか それは最後は監督の決断によるもの
そう なぜそうしたかは論理的に説明できるものではない
それを質問したんだ
でも 答えは返ってこなかった それが答えなんだと実感した
映画には上映時間があって その最後をどうするか 決断しなければならない
映画の終わらせ方をどうするのか
多くの場合 スタッフロール エンドロールが流れる
それらが流れ終わった後に 続きのシーンがあって そこまで見ないと締めくくれない映画もあるよね
最後の最後まで見ないと完結に至らない映画もあるね
ずいぶん前は映画館って 映画の途中から見ることもできて そのままもう一度見ることもできたよね
後半のシーンを見て結末が分かった上で 初めから見直すこともあったね
今はそういう見方をさせてもらえるところは ほとんどない
最初から最後までの限られた時間 映画鑑賞する
そして必ず終末を迎える
必ず終末を迎えることを承知した上で鑑賞している
作り手は終末に近いところ 結末をどうするかをおそらくは悩み抜いて制作している
見終わった直後にどのような気持ちになるかは 直前の終末のシーンの影響を大きく受ける
終わらせ方のイメージが初めからあって そこにつなげていくという方法と 最後の最後に終わらせ方を決めるという方法 どちらもありうる気がする
そのどちらにしても 終わらせ方と向き合わざるを得ない
決断って どう断つかを決めること
決める それが映画監督の仕事
その決断の結果に向き合うのが映画鑑賞
なんだか観るのにも覚悟が入りそう
覚悟はなくても限られた時間そのものを楽しみさえすればいい。
おそらく そのことが心地よい。