「しくみをみよう」構造目線

ブログ , 「うけとめていく」デザイン

フランスで受け止められた日本のデザインの話

2024年11月20日(水)(13:00から14:30)静岡文化芸術大学の講堂にて、
深井晃子 氏による「モードのジャポニスムー欧米を魅了する日本」と題した講演が行われました。
大筋は、フランスにおいて日本の着物のデザインがどのように取り入れられていったのかという内容でしたが、
私自身は、これまで深井氏の本を読んでいなかったために初めて知った話が実に面白く、
「うけとめていく」デザインにおいて、
何を受け止めるのかということを考えるための大いなる示唆が得られたように思います。
忘れないうちに、話の核心だと感じたことをメモしておきます。

江戸末期から明治へと時代が移り変わるころに文化的な交流が活発になり
ジャポニスムとしてフランスで日本文化が積極的に取り入れられるようになった。
当初は異国趣味として絵画などのモチーフとして取り入れられていたが、
ファッションとして着物をまとった姿となることなども取り入れられるようになっていった。
面白いのはこの先で、身体に合わせた立体的な縫製がなされていた洋服において、
日本の着物の直線断ちの構成原理が取り入れられたという点である。
つまり、見た目、形だけではなく、構造そのものが受け止められたということなのである。

このことは「うけとめていく」デザインを考える上での本質的な筋書きを示しているように思える。
何を受け止めるか、その受け止めていく対象は、ただ見た目の印象や表層的な形ではなく、
その構造そのものに立ち入ることが重要で、構造そのものを「うけとめる」ことが、
次に向かうデザインの展開を考えていくことにつながる。

講演の最後に深井氏からメッセージとして
「今日より、明日、明日よりは明後日」というような言葉が伝えられた。
おそらくそうしていくためには、構造そのものと向き合うことが必要なのだろうと思った。

・参考図書
きものとジャポニスム 西洋の眼が見た日本の美意識
深井晃子 著 平凡社 2017年

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