「しくみをみよう」構造目線

構造力学の教科書 第7回 骨組 ラーメン構造

骨組 その1

接合部が剛接合されているラーメン構造については、
曲げモーメント図を読み取ることができれば、
柱や梁に生じる曲げモーメントを把握することができる。
1層1スパンのラーメン構造の骨組に鉛直荷重が作用したときの
曲げモーメント図を描く。
https://youtu.be/P71OKOoHTk0

ナレーションのない動画の補足

■接合部が剛接合されている構造物をラーメン構造と呼ぶ。
■剛接合されている接合部では曲げモーメントが伝達される。
■力が釣り合っているとき、接合部につながっている柱端部や梁端部の曲げモーメントの合計は0になる。
柱1本、梁1本が剛接合されている場合には、2つの端部の曲げモーメントの大きさは等しい。
■ピン接合の場合には、曲げモーメントを負担することができない。
そのためピン接合の箇所の曲げモーメントは0になる。
■以上のことを踏まえて1層1スパンの骨組の梁に鉛直荷重が作用したときの曲げモーメント図について考える。
■柱脚がピンの骨組の柱脚の曲げモーメントは0
柱頭がピンの骨組の柱頭の曲げモーメントは0
柱頭、柱脚とも剛である場合には、どちらも曲げモーメントが生じる。
■3つのタイプの骨組の曲げモーメント図は異なるものとなり、
曲げモーメントの最大値、最大となる箇所も異なる。
■分布荷重の場合も集中荷重と同様に、
3つのタイプの骨組の曲げモーメント図は異なるものとなる。

解説

柱や梁の断面を曲げモーメントの大きさに応じて変化させる対応策もある。
曲げモーメント図を想定しながら観ると、日常的に目にする椅子の脚などの見方も変わってくるかもしれない。

骨組 その2

接合部が剛接合されているラーメン構造については、
曲げモーメント図を読み取ることができれば、
柱や梁に生じる曲げモーメントを把握することができる。
1層1スパンのラーメン構造の骨組の柱頭部に水平荷重が作用したときの
曲げモーメント図を描く。
https://youtu.be/13peXm415mM

ナレーションのない動画の補足

■接合部が剛接合されている構造物をラーメン構造と呼ぶ。
■剛接合されている接合部では曲げモーメントが伝達される。
■力が釣り合っているとき、接合部につながっている柱端部や梁端部の曲げモーメントの合計は0になる。
柱1本、梁1本が剛接合されている場合には、2つの端部の曲げモーメントの大きさは等しい。
■ピン接合の場合には、曲げモーメントを負担することができない。
そのためピン接合の箇所の曲げモーメントは0になる。
■以上のことを踏まえて1層1スパンの骨組の柱頭部に水平荷重が作用したときの曲げモーメント図について考える。
■柱脚がピンの骨組の柱脚の曲げモーメントは0
柱頭がピンの骨組の柱頭の曲げモーメントは0
柱頭、柱脚とも剛である場合には、どちらも曲げモーメントが生じる。
■水平荷重が作用すると柱に曲げモーメントが生じる。
梁との接合部が剛接合である場合には、梁にも曲げモーメントが生じる。
梁との接合部がピン接合である場合には、梁には曲げモーメントが生じない。
■3つのタイプの骨組の曲げモーメント図は異なるものとなり、
曲げモーメントの最大値、最大となる箇所も異なる。

解説

骨組の図を90°回転させると
2つの片持梁を先端でつないでいる形に見える。
そのつなぎ方によって、片持梁の曲げモーメントの形が変わる。
先端をピンでつないだ形の曲げモーメント図を改めて見ると、
片一方の片持梁に作用した荷重の負担をもう一方の片持梁で負担させるという
方策があることが見出せる。

骨組 その3

梁の端部を柱より外側に張り出した骨組を
バランスドラーメンと呼ぶことがある。
張り出さない場合と曲げモーメント図が異なり、
柱に生じる曲げモーメントの大きさが小さくなる。
https://youtu.be/lzs_s3nvE48

ナレーションのない動画の補足

■梁の中央部は両端固定梁の曲げモーメント図のような形になる。
■張り出した部分は片持梁の形式なので、
片持梁の曲げモーメント図となる。
■柱頭の曲げモーメントの大きさは、
中央の梁の端部の曲げモーメントと張り出した梁の固定端部の曲げモーメントの差になる。
■両方の曲げモーメントの大きさが等しければ、
柱頭の曲げモーメントは0となり、柱に曲げモーメントが生じない。
■多層多スパンの骨組の曲げモーメント図について少し見ておく。
1層1スパンの曲げモーメント図が多数組み合わさったような形になる。
すべての柱と梁が剛接合されていて、曲げモーメントに抵抗する構造形式である。

解説

バランスドラーメンの形は、
柱の外に梁を張り出させた形であるとも、
柱を内側にずらした形であるともいえる。
設計段階でいろいろ検討できる。

民家などに船がい造という構法が用いられていることがある。
構造的な仕組みはバランスドラーメンそのもので、
張り出した片持部分に雪などの荷重が加わってもしっかり支えることができる。

骨組 その4

1層1スパンの骨組で
柱脚の一方がピン支持、もう一方がローラー支承であるものは、
静定ラーメンである。
静定(static)な構造物では、
力の釣り合い式を立てて反力を求めることができる。
この静定ラーメンの曲げモーメント図について考える。
https://youtu.be/BA4QPOo25EA

ナレーションのない動画の補足

■ローラー支承では水平の力を負担できない。
そのため柱の軸に直交する力(せん断力)を生じさせることはない。
せん断力が生じなければ、曲げモーメントも生じない。
■そのため、ローラー支承の柱の曲げモーメントは0になる。
■このことを踏まえて、鉛直荷重が作用する場合、水平荷重が作用する場合の曲げモーメント図を描く。
■1層1スパンの骨組で4点ともピン接合されている場合には、
水平力を負担することができない。
■この場合に、斜めの材を入れると、
その材が軸力に抵抗して倒れることを防ぐ役割を果たす。
ピン接合でも材を三角形で構成すれば、形を固めることができる。
■この斜め材のことを筋違(すじかい)とかブレース(brace)と呼んでいる。
■接合部はピン接合、三角形を構成して形を固める構造形式をトラス構造と呼んでいる。

解説

一般的には片一方をローラー支承にすることは少ないように思う。
たとえば、非常に大きなスパンで、
温度の影響などによる梁の伸び縮みが無視できないような場合には、
ローラー支承にするなどして対応しなければならない。

建築士の試験問題や力学の計算問題などでは、
力の釣り合い式だけで解くことができるので出題されることが多い。

曲げモーメント図のイメージを確認するための動画
https://youtu.be/dZfKajglcQc