「しくみをみよう」構造目線

構造力学の教科書 第5回 曲げ 応力度 断面2次モーメント 断面係数

曲げ 応力度

曲げられる材の中で、断面に垂直な向きの応力度について考える。
曲げる力の負担だけの場合、その応力度は上端と下端で最大、中央で0になる。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/jAK7Epu4oyg

動画の補足説明

■真っ直ぐな梁(棒)が曲がるとき、曲線の外側が伸びて、内側が縮む状態になる。
■中央に近い部分は、元の長さと変わらない。
■伸びるところには引っ張る応力、縮むところには圧す応力が生じている。
■ほんのわずかに曲がる状況(微小変形)であれば、
横から見て長方形だったものが台形に変形していると見なすことができる。
■断面に垂直に引っ張ったり圧したりする応力度の大きさは、
最外縁が最大で中央が0になる三角形の分布になる。
■断面全体での曲げモーメントの大きさと
応力度から計算する曲げモーメントの合計は同じになる。
■同じになることを示した式を解くと曲げ応力度の大きさが計算できる。
■この式を導いたときに、Iという記号で取りまとめたものを用いると式の形が単純になる。
■このIのことを断面2次モーメント(moment of inertia)と呼ぶ。

解説

応力度の単位は、N/㎟ とか N/㎠である。
モーメントの単位はN・mm とか N・cmである。
断面2次モーメントの単位はmm4 とか cm4である。(4は上添字)
yは断面の鉛直方向の軸上(曲げのみの場合は断面の中心が0)の位置で、単位はmm とか cmである。
応力度を導く式の両辺で、単位のつじつまも合っている。

断面2次モーメント

断面2次モーメントの計算式について考える。
長方形断面の場合には、断面2次モーメントは梁せい(梁の高さ)と梁幅から簡単に計算できる。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/-mipi1su93Y

動画の補足説明

■断面2次モーメントの式について、長方形断面の場合で計算してみる。
■微小な面積d Aは梁幅にy方向の微小長さを掛けたものになる。
■dyで積分すると長方形断面の断面2次モーメントの式を示すことができる。
■長方形断面の断面2次モーメントは、梁幅×梁せいの4乗を12で割った値になる。

解説

この断面2次モーメントに応力度は反比例する。
実のところ、この断面2次モーメントは梁(棒)の曲がりにくさを示している。
断面2次モーメントは梁幅が2倍になれば2倍になるが、梁せいが2倍になったときには8倍になる。
同じ断面積の場合、梁幅よりも梁せいを増した方が、より効率的に曲げに抵抗することができる。

次のサイトには、構造計算ツール(断面性能)として、
さまざまな断面の断面2次モーメントが計算できるページが公開されています。
てんま構造 http://www.temma.jp/index.html

演習

演習その1 次の3つの図の断面の断面2次モーメントを求めよ。

断面形状

 

 

演習その2 次の断面の断面2次モーメントを求めよ。
フランジ(上下の水平方向の板)、ウェブ(鉛直方向の板)の厚さはともに10cmとする。

 

断面係数

曲げられる梁(棒)の断面に生じる垂直応力度は、上端と下端で最大になる。
曲げのみが生じる場合には、中央0の位置から梁せいの半分離れた位置の応力度が最大になる。
最大の応力度を求めたい場合には、
あらかじめ断面2次モーメントを梁せいの半分で割った断面係数を用いると便利である。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/huRUoSV-prI

動画の補足説明

■今回は、長方形断面の場合を考える。
■断面の中心を0として鉛直方向の軸を設定すると
垂直応力度の最大は、yに梁せいの半分の数値を代入すると求めることができる。
■断面2次モーメントを梁せいの半分で割った数値を求めておけば、
曲げモーメントをその値で割るだけで、最大の応力度を計算することができる。
■その値はZで表わされ、断面係数(section modulus)と呼ばれている。

解説

断面係数の単位はcm3(3は上添字)である。
曲げによって生じる最大応力度の値は、断面係数の大きさに反比例する。

次のサイトには、構造計算ツール(断面性能)として、
さまざまな断面の断面係数が計算できるページが公開されています。
てんま構造 http://www.temma.jp/index.html

演習

演習その1 次の3つの図の断面の断面係数を求めよ。
断面形状

 

 

演習その2 次の断面の断面係数を求めよ。
フランジ(上下の水平方向の板)、ウェブ(鉛直方向の板)の厚さはともに10cmとする。