「しくみをみよう」構造目線

構造力学の教科書 第4回 単純梁 反力 M図 荷重の分散

単純梁 集中荷重 反力

単純梁は両端ピン接合で支えられる梁である。
両端部の鉛直方向の反力を計算するためには、
回転の力の釣り合いを考えなければならない。
https://youtu.be/-JFsUAC6kKI
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/pWSpYDDk98Q

ナレーションのない動画の補足

■単純梁は両端部がピン接合で支えられている梁である。
■中央に集中荷重が作用している場合には、両端部は半分ずつ鉛直荷重を負担する。
■荷重の作用する位置が中央ではない場合、
近づいた側の支点の反力が大きくなる。
■反力の大きさを求めるためには、上下方向の力の釣り合いだけでなく、
回転の力の釣り合いも考慮しなければならない。

解説

梁の伸び縮みを許容する場合は、片一方は横滑りを可能にするために
ピン支持ではなくローラー支持にする。
ピン支持の場合、上下と左右の2方向の力を負担できる。
ローラー支持の場合には、上下の力しか負担できない。

力の釣り合い式は、上下、左右、回転の3つをつくることができる。
片一方がピン支持、もう一方がローラー支持の場合、
両方で3つの反力が生じうる。
3つの式を立てて計算すれば3つの反力を求めることができる。
力の釣り合い式から、すべての反力が計算できる構造を
静定構造と呼んでいる。

単純梁 集中荷重 M図

単純梁の途中に生じる力(断面力)を計算するためには、
途中で切断した状況を想定する。
集中荷重が作用しているときの曲げモーメントについて考える。
https://youtu.be/i3zSyidjO6A
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/J4fQPbpx3RM

ナレーションのない動画の補足

■集中荷重の場合、梁の途中に生じる曲げモーメントは荷重が作用している位置で最大になる。
■集中荷重が作用している位置で切断して状況を想定する。
■その状況で切断箇所を中心にして曲げモーメントの釣り合い式を立てる。
■一応断っておくと、切断箇所にせん断力も生じるが、
回転の中心に作用する力は曲げモーメントの釣り合い式には中心からの距離が0のため結局0になるので、
解説用の動画では省略して記載していない。
■上下と回転(曲げモーメント)の力の釣り合い式を解くと
荷重が作用した位置での最大の曲げモーメントの大きさを求めることができる。

解説

単純梁に集中荷重が作用したときの曲げモーメントの最大値は、
動画に示した式に
荷重の大きさ、梁の長さ、荷重の加わる位置の情報を代入するだけで
求めることができる。

動画の中で、曲げモーメント図をさかさまの三角形に描いているのは、
梁の下端が引っ張られる側で、引っ張られる側に描くという慣例に従っている。

単純梁 分布荷重 M図

単純梁に等分布荷重が作用したときの曲げモーメント図を描く。
集中荷重の場合と異なり、曲げモーメント図は曲線になる。
https://youtu.be/eSvqiTjMC4A
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/7BJcpb01Bgs

ナレーションのない動画の補足

■等分布荷重は左右対称で加わるため、両端部の反力は荷重の合計の半分ずつ、等しくなる。
■梁の途中に生じる曲げモーメントは中央で最大になる。
■梁の中央で切断した状況を想定する。
■分布荷重を集中荷重に置き換えて考えるが、
中央で切断した状況において、その置き換えを考えなければならない。
■なお、動画では、中央のせん断力は0となることもあり、せん断力については触れていない。
■梁の中央の位置を回転の中心にした回転させる力(曲げモーメント)の釣り合い式を立てる。
この時、中心の点以外に生じている力をもれなく考慮することが重要である。
■釣り合い式を解けば、中央の曲げモーメントの大きさを求めることができる。

解説

単純梁に等分布荷重が作用したときに梁の中央に生じる曲げモーメントの大きさは、
動画に記載した式に梁の長さを等分布荷重の大きさを代入するだけで
求めることができる。

曲げモーメント図を下に膨らむ形で描いているのは、
梁の引張側に記載するという慣例に従っているためである。

荷重の分散

梁に荷重が作用するとき、
1点に集中して作用させる場合より、分散させて作用させた方が、
梁に生じる曲げモーメントの負担は小さくなる。
https://youtu.be/aQ6jePz4TyQ
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/ZmrYr62lbqQ

ナレーションのない動画の補足

■単純梁の中央に集中荷重が作用したときの曲げモーメント図を描く。
■次に2箇所に分けて作用させたときの曲げモーメント図を描く。
■動画では計算式を省いているが、
大きさが半分になった力の大きさとその力が作用する位置の端部からの距離を掛け算した値が
最大の曲げモーメントの大きさになる。
■2箇所に分けて作用させた場合、2箇所の力の間の部分は曲げモーメントの大きさは一定になる。
■単純梁を2段に重ねた2重梁を考える。
■上の梁は単純梁に1点集中荷重が作用した状態である。
曲げモーメント図は三角形になる。
■下の梁の台形の曲げモーメント図に上の梁の三角形の曲げモーメント図をくっつけると
下の梁に1点集中荷重を作用させたときの曲げモーメント図と同じ形になる。

解説

伝統建築の二重虹梁蟇股(にじゅうこうりょうかえるまた)は、
2重梁で下の梁の曲げモーメントの負担を減らす理屈にかなっている。
蟇股そのものも、もともとは荷重を分散させるための形だといわれている。

単純梁と片持梁

単純梁と片持梁に集中荷重が作用したときの曲げモーメント図を比較する。
https://youtu.be/xHN5pLRMxmw
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/8NFr7r1-g24

ナレーションのない動画の補足

■先端に集中荷重が作用した片持梁の曲げモーメント図を描く。
■その片持梁の2倍の長さの単純梁に
2倍の大きさの集中荷重が中央に作用した場合の
曲げモーメント図を描く。
■2つの曲げモーメント図を比較すると
単純梁の曲げモーメント図の半分と片持梁の曲げモーメント図が一致する。

解説

梁に荷重が作用したときに下がる量をたわみ量と呼ぶ。
ここで比較した片持梁と単純梁では、
方持梁の先端のたわみ量と単純梁の中央のたわみ量が同じ大きさになる。