せん断力
せん断力は仮に梁の途中を切断したとして、その切断面に沿って生じている力である。そのせん断力について説明する。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/G3zZBi9MbIs
動画の補足説明
■仮に梁の途中を切断して、力の釣り合いを考えると切断面にそった力が生じることが分かる。
■この力のことをせん断力と呼んでいる。
■ハサミは2枚の歯が限りなく近い位置でズレることにより紙などの切ることができる。
せん断は、ハサミでものを切断する意味で、切られるものにはせん断力が生じている。
太くて短いものはせん断力の影響が大きく、細くて長いものは曲げの影響が大きい。
■梁の途中に生じる曲げモーメントのグラフを曲げモーメント図と呼んでいる。
■梁の途中に生じるせん断力のグラフはせん断力図と呼んでいる。
■それぞれの箇所での力の釣合式を立てて解けば、せん断力図を描くことができる。
解説
梁の軸方向を座標軸として、曲げモーメントの式を1回微分するとせん断力の式になる。
せん断力は曲げモーメントの変化量を表している。
曲げモーメント図が直線になる箇所では、せん断力は一定である。
「多少なりとも微積分をかじった人は、この面白さを味わってみてください。」
「何を言っているのか分からないという人は、とりあえず、さらりと聞き流しておいてください。」
せん断応力
せん断応力と垂直応力は互いに関係している。
梁の断面におけるせん断応力度の分布についても考える。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/2g3X64fWlWY
動画の補足説明
■せん断応力の向きは、反対側の面と逆向きになる。
■反対向きの一対の力は、その向き周りに回転する力を生じさせる。
■その回転と逆回りの力は、残る2面で生じる。
■4面に生じているせん断応力の力の矢印は、矢と矢がくっつくような向きになる。
■矢と矢がくっつく方向には引張の応力が生じていることとなり、
それと直交する方向には圧縮の応力が生じていることになる。
■長方形の梁の断面において生じているせん断応力度について考える。
そのためには、まず、曲げに伴って生じている断面な垂直な応力度について考える。
■2面切り取った部分について考えると、
左右の垂直応力の差の分だけ、せん断応力が生じる。
■そのせん断応力と同じ大きさのせん断応力が切断面に沿って生じる。
■このせん断応力の大きさは、上下の縁では0で断面の中央で最大になる。
計算して求められたものをせん断応力度と呼ぶ。
■このせん断応力度の合計が、その切断面のせん断力と等しい。
解説
ここでは長方形断面のせん断応力度の分布を示した。
単純にせん断応力度の最大値を計算したい場合には、
その切断面で生じたせん断力を断面積で割って1.5倍すれば求めることができる。
H形鋼の場合は、フランジにはあまりせん断応力は生じないで、
ウェブに、ほぼ均等に生じるので、
せん断力をウェブの断面積で割り算するだけでせん断応力度を求めることができる。
参考文献
建築構造力学 図説・演習Ⅰ 丸善
自分自身が学生の時の力学の教科書でした。
考え方の原点を理解するための丁寧な説明がなされています。
ただし、学生から分かりやすくく書かれているかと尋ねられると、
何ともいえないと答えています。