さまざまな荷重 その1
構造物に作用する力を荷重と呼んでいる。
すべての荷重は、そもそも構造物そのものがなければ生じない。
その意味では、
荷重は外から加わるものというよりも建物そのものの属性と捉えることもできる。
ここでは、固定荷重、積載荷重、風荷重、地震荷重の概略を説明する。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/mvuwM9D_OQw
動画の補足説明
■固定荷重
構造物そのものの重量は固定荷重と呼ばれている。
構造物の材料、体積で求めることができる。
■積載荷重
構造物に載るものの重量は積載荷重と呼ばれている。
人、ものの重量が積載荷重の正体である。
■構造設計をする際に、どのようなものが載るかということを想定する必要がある。
積載荷重は、建築物の用途を想定して決めることにしている。
■積載荷重については、床の上に載る偏りの影響を大きく受けるかどうかも考えなければならない。
床そのものの検討をする、柱や梁の検討をする、地震力を検討するなど、検討箇所により想定する数値を変えている。
■風荷重
強い風が吹いていても、構造物がなければ、ただの自然現象である。
それを構造物が遮るために風荷重を考えざるを得ない。
■風荷重の大きさには、風速に関係する風そのものの強さだけでなく、
構造物の形状が大きく関係している。
風上側は圧力が生じるが、風下側が引き離されるような力が生じる。
これを負の圧力と呼んだりしている。
映像では触れていないが、はためく(フラッター)現象などにも留意しておいた方が良い。
■地震力
地震力は構造物の重量に大きく関係する。
ここでは詳しい説明を行わないが、
地面が動きとともに構造物が動かざるを得ないことになり、
その時に生じる慣性力が地震力の正体である。
動くことを把握しなければならないので、地震力と向き合うためには振動論などの知見が重要である。
解説
固定荷重、積載荷重、風荷重、地震荷重の概略を説明したが、
構造物そのものの重量である固定荷重が最も扱いやすいように思えるかもしれない。
固定荷重こそ、構造物そのものの属性である。
であるからこそ、構造設計する際には、まず固定荷重と向き合わなければならない。
構造物を構成する部材の寸法が決まっていなければ、固定荷重は決まらない。
そのため、これから設計しようとする初めの段階で、部材の寸法を決めておく必要がある。
仮定断面として、計算前に寸法を決めておかなければ設計が始まらない。
参考文献 参考WEBサイト
荷重は作用する向きにより、鉛直荷重、水平荷重に分類される。
また、長期的に作用するか、短期的に作用するかによっても分けて扱う。
荷重の分類について、構造計画の授業の参考図書の1ページ目を参照しながら説明している。
構造用教材 日本建築学会
YouTube 振動の世界 東京文映製作1971年に制作された約30分間の映像作品です。
振動の実験などの映像が数多く紹介されています。
その中で、タコマ橋のフラッター現象の映像も紹介されています。(9分ごろ)
さまざまな荷重 その2
構造物に作用する力を荷重と呼んでいる。
ここでは雪荷重の紹介に加えて、
荷重として見落としがちなことがらについても触れる。
ナレーションを加えた動画はこちら→https://youtu.be/3U4n4TGBFOI
動画の補足説明
■雪荷重
屋根に積もった雪が鉛直荷重として作用する。
雪荷重の大きさは、どれだけ積もったかという積雪深に関わる。
■積もる期間によって、長期か短期か、荷重の扱いを区別する。
雪荷重の特徴として考慮すべき点が複数ある。
・積雪量が多いときに絞め固められて体積あたりの重量が大きくなる。
・南側だけが先に溶けて偏った荷重になることの影響。
・一旦溶けた雪が軒先でぶら下がる。
・地面に積もった雪が構造物を横から圧す。
■土圧 水圧
地面の中などで目に触れない部分に生じる荷重。
■熱応力
熱そのものは荷重ではない。
熱の影響で、構造物が伸び縮みすることによって部材に応力が生じる。
その影響を受けても十分に耐えることができるようにしておくか、
その影響が生じないように、伸び縮みを許容できる工夫をしておくか、
検討しておかなければならない。
演習
鉄道の乗り物で、なぜガタンゴトンというような音が生じるているのか?
それは線路の隙間の影響である。では、なぜ線路の継ぎ目に隙間があるのか?
それは熱の影響による線路の伸び縮みを吸収するため。
伸縮を吸収するための線路の継ぎ目の工夫は?