東京都同情塔 九段理江 著 新潮社
芥川賞を受賞した小説です。
著者は建築を学んだ人なのだろうか?
建築のことをあまり知らない人がこの本を読んでどのような感想を抱くのだろうか?
読んでいる最中に、そんな疑問が頭をよぎり続けました。
言語、都市、建築のすべてが情報の空間の中でつながっている
そのことが描かれているように感じました。
小説でこういうことが表現できるのかと感心させられました。
あらすじは?と問われても端的に示すことができない小説です。
建築について日々考えている人には、
この小説を手に取ってみることをお勧めします。
読み進めている中で引っ掛かって気になった一点だけ
「わずかに質量の重いカードで」という一文があるのですが、
他にも質量という単語が出てくる箇所もあり、質量を残したままで
「わずかに質量の大きいカードで」というように
「重い」を「大きい」に変更してもらえればいいのになあと思いました。
兎にも角にも、さらりと読むことはできない大きな質量をもつ小説だと思います。