「しくみをみよう」構造目線

「うけとめていく」デザイン

「うけとめていく」ためのアート

参考図書
・みんなの現代アート グレイソン・ペリー 著 ミヤギフトシ 訳 フィルムアート社 2021年

 イギリス生まれのアーティストであるペリーは、インターネットやさまざまな技術によってアートが変わらざるを得ない状況であることを述べた先に『アートが変化しても、そこにはアーティストがいる。しかしながら、私たちの生活を変化させ、私たちを驚愕させる文化は、もはや現代アートの世界に留まってばかりもいられなくなった。』と記述している。そのようなアートに対する視座から、アートを取り巻く環境ついてのさまざまな事例を挙げている。

 ペリーは、『アートの最も重要な役割はその資産価値がもたらすものでも、都市の再開発を促すことでもない。その最も重要な役割は、意義を生み出すことに他ならないのだ。』また、別な箇所では、アーティストたちが何をつくってきたかを実際に見せる教育プログラムがあるギャラリーでおこなわれた後で、「現代アートの作家さんが何をしてると思う?」と参加者の子に尋ねたときに「何かに気づいてる」と答えたエピソードが紹介されている。ペリーは『なんて完結で明快な定義だろうかと私は驚いた。』と記述している。

 ペリーの著書から、現代アートの世界に留まっていられない文化において、アーティストには「何かに気づくこと」や「意義を生み出すこと」が求められるのだと教えられる。「うけとめていく」デザインに向き合うことが、アートをつくっていくための重要な基本姿勢であると考えることもできる。

「うけとめていく」デザインをキーワードにして、考えていることを少しずつ記述していきます。
その前書きはこちら→ 試論:「うけとめていく」デザイン連携活動

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