平成19年度の結果報告
平成19年度は、第10回目にふさわしい壮絶な戦いが繰り広げられました。
12月に行われたトーナメント戦で、1回戦、2回戦と勝ち進んで決勝で対戦したのは、「短足(短柱)の行進」と「イタラー」の2体です。「短足(短柱)の行進」は、数段ある横材の間に短い縦材が何本も挿入されているものです。両側の柱すら短く切断されている常識破りの壁です。水平力に対しては、横材と縦材の接触面におけるめり込みでのみ抵抗します。一方の「イタラー」は、厚い面材をビスで留めし、さらには接着材をも用いて最強の壁となることをを目指して設計されたものです。どちらも通しボルトを用いて、柱の引き抜き対策は万全です。控え柱で支える形式とはいえ、過剰ともいえる補強
が施された両者の対戦は、1P(柱の芯々910mm幅)の壁とは思えない驚きの50kNをかなり超える力が加わっても決着がつかず、ほぼ同じ変形量でジャッキのストローク一杯引ききりました。
変形したままの壁を再度引き離してどちらかが破壊するまで引き合わせて決着をつけることにした結果、最終的には「短足(短柱)の行進」が破壊せずにトーナメント戦優勝を果たしました。なお、最後に残った「短足(短柱)の行進」1体のみを最終的に破壊させた時の最大耐力はなんと60kNを超えました。
荷重変形曲線のグラフで囲まれた耐震性能とデザイン評価点をあわせた数値をコストで割った値が最も高い壁を実用性の高い壁とみなし、その壁に対して総合優勝となるジャパンカップが贈られます。平成19年度は、「1年越しの思い」にジャパンカップが贈られました。
すべての結果は以下の通りです。
トーナメント戦優勝 『短足(短柱)の行進』ポラス
ジャパンカップ優勝 『1年越しの思い』10代目日建
部門賞
耐震部門 『イタラー』チーム匠
デザイン部門 『1年越しの思い』10代目日建
加工・施工部門 『1年越しの思い』10代目日建
環境部門 『ドカポン』東北職業能力開発大学校
審査員特別賞『貫璧(KANPEKI)』東京工業大学坂田研究室(楽志隊)
平成19年度 決勝のデザイン評点の審査員はは次の方々です。
安藤邦廣氏(筑波大学教授 NPO木の建築フォラム理事)
杉本洋文氏 (東海大学教授 (株)計画・環境建築代表)
岸純夫氏((財)日本住宅・木材技術センター理事長)
決勝結果報告
決勝トーナメントの出場耐力壁の評点の一覧表(修正版)です。
(PDF)
予選結果報告
すべての出場耐力壁の評点の一覧表です。
(PDF)