「しくみをみよう」構造目線

絵空ごと , 創作物語

地球の上で生きる(超短編)

「不動産という言葉があったのを知ってた?」
「かなり前の話でしょ。」
「そう、私はつい最近、過去のデータの検索でたまたま知ったんだけど、信じられないような時代があったんだね。」
「さらにその前には、地球が止まっていて、とりまく天体が動いているなんていう天動説が信じられたりもしていたけどね。」
「それにしても、地球の地面を不動産などと呼んで、その上に載せた建物で人が生活していたなんて、想像しようにも想像できないよ。」
「地球上には重力があって、地面に押しつけられた状態になっている。その地面の上で生活する。それがまったく当たり前のことで、何の疑問も抱かずに生きていたんだろうね。」
「空気の力学にもとづいて飛行機なるもので空を飛ぶことは、していたらしいね。」
「地面の上を車輪で移動する自動車というものがあって、それが飛行機のように空を飛べる形にすることが画期的だと考えられたりもしていたらしいよ。」
「いずれにしても、地面の上にいることが基本で、ほんの少し飛ぶかどうかっていうレベルでしかものを考えていなかったってことだよね。」
「思い込みは怖いもので、その妙な思い込みから逃れられない時代が結構長く続いていたみたいだよ。」
「でも、人工衛星は、その当時からあったらしいね。」
「そう小さな物体を打ち上げて地球を回るものはすでにあったらしい。」
「なぜ、その時点で気づかなかったんだろうか?」
「ほんと、不思議だよね。おそらくは、地球上にいるということの意味をまじめに考えていなかったんだろうね。」
「当時は、地震とか津波、台風という気象変動などに見舞われる災害というものが多く発生して、そのたびに多くの人が苦しんでいたらしいよ。」
「信じられない。どうして、それほどまでの目に遭っているのに、地面の上で生きることが当たり前だなんて思っていたんだろうか?」
「とにかく、強い思い込みがあったとしか思えない。」
「その当時もどうやら地動説は否定されて天動説で宇宙を理解していたらしいんだけど、それにしても、地球の地面の上で生きることを変なことだと思っていなかったなんて、想像つかないなあ。」
「でも、宇宙ステーションという名前で地球の周りを回るものもあって、まったく気づいていなかった訳でもないみたいなんだ。」
「宇宙か。地球じゃないんだ。」
「そう、宇宙だと思っていたみたいなんだ。」
「地球って、地球の重力場が地球だっていう発想がなかったんだろうね。」
地表面からの高度30000メートルから40000メートルの間に巨大な島のような物体が、いわば静止衛星のように数多く存在していて、その中に多くの生命体がある星、地球。
「それにしても、地面の上で生活していた時代があったなんて。」
「確かに、信じられないよね。」
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